家族性地中海熱は16番染色体上のMEFV遺伝子の変異により発症します。このMEFV遺伝子産物であるタンパクpyrinは好中球に発現し、自然免疫に関与していると考えられていますが、詳細な機能はわかっていません。当科ではすでにpyrinと好中球顆粒内タンパクの結合を発見しており、これらのタンパク結合により惹起される炎症機構の解明を進めています(下図参照)。
(pyrinによる炎症制御機構の仮説)
家族性地中海熱をはじめとする自己炎症疾患は不明熱として当科へ紹介されることがあります。当科では家族性地中海熱のMEFV遺伝子、TNF受容体関連周期性症候群、cryopyrin関連周期性発熱症候群の遺伝子診断を行っています。
2008年から現在までに10例の家族性地中海熱、2例のcryopyrin関連周期性発熱症候群を診断しています。