診療対象疾患は関節リウマチはじめ膠原病およびその類縁疾患で、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発筋炎、強皮症、混合結合組織病、シェーグレン症候群、血管炎症候群、ベーチェット病です。また、鑑別困難な不明熱などの紹介患者の診療にもあたっており、外来定期通院患者数は約2,300例です。近年のリウマチ領域診療の最大の進歩は生物学的製剤の登場であり、当科では30%にあたる約200例に生物学的製剤を使用しています。また血管炎に対するリツキシマブ、全身性エリテマトーデスに対するミコフェノール酸モフェチル・ヒドロキシクロロキンなど、新規に保険適応となった治療薬を積極的に導入しています。ベーチェット病の外来通院患者は全国でも有数であり、厚生労働省のベーチェット病班会議での研究報告を続けています。
強皮症、全身性エリテマトーデス、血管炎などの膠原病に伴う四肢の皮膚潰瘍はしばしば難治性で、その治療に苦慮することがあります。当科では薬物治療などの既存の治療に抵抗性を示す症例を対象に、末梢循環の改善を図ることを目的として、患者さんご本人より採取した骨髄単核球細胞を罹患肢に移植する血管新生療法を行っています。膠原病領域における本療法の応用は本邦はもちろん世界でも先駆的であり、患者さんも全国各地から紹介されています。
Ishigatsubo Y, et al. Therapeutic angiogenesis in patients with systemic sclerosis by autologous transplantation of bone-marrow-derived cells. Mod Rheumatol, 2010, 20: 263-72.
関節エコー検査は関節の滑膜増殖、血流、骨びらんの状態を観察することが可能であり、当科では関節リウマチをはじめとした関節疾患の診断や活動性の把握に有用な手段として、本邦の中で先駆的に臨床応用いたしました。関節エコー検査の関節破壊の予測における有用性や検査法の最適化などに関する研究を行っており、これまでに多数の書籍や論文を発表しています。
大野滋ら、EULAR リウマチ性疾患超音波検査テキスト. メディカルサイエンスインターナショナル.
Yoshimi R, et al. On-demand ultrasonography assessment in the most symptomatic joint supports the 8-joint score system for management of rheumatoid arthritis patients. Mod Rheumatol, 2017, 27:257-65.
Kirino Y, et al. Predicting joint destruction in rheumatoid arthritis with power Doppler, anti-citrullinated peptide antibody, and joint swelling. Mod Rheumatol, 2015, 25:842-8.
Yoshimi R, et al. A novel 8-joint ultrasound score is useful in daily practice for rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol, 2015, 25:379-85.
Yoshimi R, et al. Ultrasonography predicts achievement of Boolean remission after DAS28-based clinical remission of rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol, 2014,24:590-8.
Yoshimi R, et al. Ultrasonography is a potent tool for prediction of progressive joint destruction during clinical remission of rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol,2013, 23:456-65.
Takase K, et al. Simultaneous evaluation of long-lasting knee synovitis in patients undergoing arthroplasty by power Doppler ultrasonography and contrast-enhanced MRI in comparison with histopathology. Clin Exp Rheumatol, 2012, 30:85-92.
Hama M, et al. Power Doppler ultrasonography is useful for assessing disease activity and predicting joint destruction in rheumatoid arthritis patients receiving tocilizumab–preliminary data. Rheumatol Int, 2012, 32:1327-33.
PET検査は現在悪性腫瘍に対して用いられていますが,炎症の検出にも有用です。放射線科の協力のもと,大動脈炎などの血管炎については院内の先進医療推進事業(先進医療へ申請準備中)として,不明熱については先進医療として施行しています。
Watanabe T, et al. 18F-FDG and 18F-NaF PET/CT demonstrate coupling of inflammation and accelerated bone turnover in rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol, 2016, 26:180-7.
Uehara T, et al. Deep-inspiration breath-hold 18F-FDG-PET/CT is useful for assessment of connective tissue disease associated interstitial pneumonia. Mod Rheumatol, 2016, 26:121-7.
全身性エリテマトーデスや血管炎症候群の診断目的に入院にて施行します。年間約20例施行しております。
本外来では、整形外科、リハビリテーション科と一緒に診療にあたり、各科連携のもと患者さんを総合的にサポートしています。